tone
パンパンッ!!


「はい、そこまでだ。

……やっぱ軽々と弾きこなすな。

もうベースを雇わなくていい。」

「……今までずっとベースは雇われてたんですか??」


ソファーの上に静かにベースを置く。

「まぁな。

お前なら歌いながらベースも出来るだろ、って言ったらおろそかになるから嫌だって困らせたな。」

「あ、すいません。」

「別に。

今更記憶のないお前に謝れても意味がないだろ。」


………せっかく人が謝ったのに。



あたしは膨れっ面をしながら、ボスッとソファーで休憩する。


「で、この3年何やってた??」

「はい??」

「どうやって生きてたかだよ。

まさか一人で山奥に住んでた訳じゃないだろ??」

「あ、先生の話だと。

あたしは山奥で瀕死状態で、記憶のないあたしは近くの孤児院で引き取られてました。」

「……なるほどな。

だからまだ生き てる訳か。
家族は??何故探さなかった??」


「小さい頃からあたしは奏ちゃんの家に引き取られました。

未来の詩月家の為にあたしは最高級の教育が施され、あたしの家は音崎家と言っても過言ではありません。」


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