tone
「………違う、違うんです。


……奏ちゃんだけは……違う。」

「歌音??

お前、大丈夫か??」






ベチンッ!!

《………奏ちゃん。》

《………歌音ちゃんにとって、


僕はそんな物でしかなかったの??》


《………違う。》

こんなはずじゃなかった。


《……もう、いいよ。》

《奏ちゃんっ!!》




頼むから……行かないで。






















《確かに両親の考えはそれだったかもしれない。


………でも、僕は本気で考えたつもりだったよ??》


《奏ちゃん……。


あたしだって……。》



《でもそう思わしたのは僕のせいだ。


……幼なじみとしても、


婚約者としても失格だ。》


《違う!!奏ちゃんは悪くない!!》


《………ちょっと、考えてくる。》

《嫌………







奏矢ぁっ!!!》


バタンッ!!!


















「………歌音ちゃんっ!!?」

ああ、またあなたの悲しげな響きが聞こえる。

それはあたしが何度も言わせた響き。


ただ、あたしがいただけで。


でもそんな細工なんか使った覚えはないのよ。

今、想った言葉さえ伝える力もないあたしには


そんな頭なんか使えない。


でも全てはあたし。




ごめんね、奏ちゃん。



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