tone

side Souya-Nezaki

「歌音ちゃんに、家族っていないの??」

そんな寂しい想いをさせるつもりはなかったんだ。

ただ、生まれてから傍にいた君が

そんなに思い詰めてたなんて、

ただ知らなかった。


────失格だね、傍にいたのに。







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「歌音、だいぶ落ち着いたみたい。」


「そう………。」

tone始動の最初のlesson

悪い予想は当たり、歌音ちゃんはまた気を失った。


──【もう一度やり直したかった】


一体何を??

歌音ちゃんの心に

何の言葉が突き刺さったの??

「………はぁ。

せっかくの練習時間30分もくっちまったよ。


おい、お前等。

隣の部屋で練習するぞ。

空いた奴は歌音の面倒を見てやれ。」



「ちょ…歌音がこの状態なのに!?」

と訳分からないみたいな顔をした演坂さん。

そりゃ、そうだ。

歌音がこの状態で僕等の実力が最大限に発揮出来るとは思わない。


………でも大橋さんにも大橋さんなりの考えがあるはず。


もしも、


僕が歌音ちゃんだったら??


「………演坂さん。」

「何、奏矢君??」

「練習、再開させよ。」

「は……??」

「おい、奏矢!!」

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