tone
「どうして……って、昔からずっと一緒で


これからも歌音ちゃんを守りたくなったからだけど……。」

正直、歌音ちゃんを好きな理由なんかない。

いるのが当たり前だった存在だった。

兄弟ではないのは分かってたから。

それに僕は、歌音ちゃんを守らなきゃならなかったから。

「他の女の子に目移りとかしないの??」

「ん~……。

でもやっぱり、歌音ちゃんの傍が一番だからな。」

《奏ちゃん♪》

まるで、フルートみたいに透き通る声な歌音ちゃん。

あの声で呼ばれるとなんか、

気持ちがくすぐったくなるんだ。

次はどんな質問かな??

と思いを巡り、考えてたら















僕の頬を、髪がすり抜けた。

最初は頭が停止していた。

………何が、起こった??

ただ質問に答えただけなのに、

僕は一体……。

ようやく口が自由になり、

「……どうして……演坂さん。」

そう開いた時には、



















ガチャ



「ヤッホー………??」


今は聞きたくなかった声が聞こえた。


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