tone
「……俺は、生まれた時から歌音ちゃんを知ってる。」

兄弟でもないのに、いつも一緒にいる女の子。

音楽が大好きで、家族の事を一番思ってる優しい子。

まさか、あんな酷い家庭状況でこんな子が育つなんて誰も信じれないとは思う。

でも歌音ちゃんは、それを覆した。

詩月のため、

将来のため、

まだ未来を疑わない僕達には早すぎた事実も受け止めて、

毎日毎日必死に生きてきて、

傍にいる僕に何が出来るか

戸惑うくらい歌音ちゃんは強い。

そう、感じてた。




「……歳を重ねる事、

みんなは辛い事実を背負った歌音ちゃんに無茶な注文をする。

【歌音は強いから】

そんな曲がった先入観が、現在の歌音ちゃんをどんどん縛り付ける。

でも泣かない、むしろまた頑張る。

見てるこっちがハラハラした。


でも知ってるんだ。
























歌音ちゃんが壊れるくらい
強がってた事。」


なのに相変わらず、
歌音ちゃんは頑張り続ける。


逆に俺が泣きそうになった。


「………演坂さんにも
元太にも申し訳ないと
思ってる。」

でも、それでも僕は、


















「……歌音ちゃん……しか…いないんだよ。」

涙が出るくらい、
大好きなんだ。

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