tone
「……歌音ちゃん、
多分嘘はついてなかったんだ。」

「嘘??」

「……いなくなる時に、
演坂さんに会うって。
すぐすませるって。

それって歌音ちゃんは、
きっと演坂さんに
何かがあったって
思ったからじゃないかな??」

「……じゃあ歌音は、
あたしの為に??」

「消えちゃったのかも
しれないね。」

未だに分からない、
誰も知らない歌音ちゃんの
消失した事件。

「多分……
慣れた感じで携帯に
出てたから
知り合いだと
思うんだよね。」

僕は顎に手を添えて、
必死に考え込む。

「……そんなに
考える必要がある??」

「え??」

すると演坂さんが
冷静な瞳で見てくる。

「……奏矢君にも、
もう誰だか
分かってるはずよ??

ただ、
信じたくないだけでしょ??」

演坂さんは賢い。

鋭く、でも正確に
人の核心につく。

ある意味、敵に回したら
怖い人物だ。

「……よく分かったね??」

「歌音の話を聞いたら、
たまたま思い当たったのよ。
























【神奈川 純】が。」

「……そうだよねー
やっぱ純しかいないよね??」

アイツも一途に
歌音ちゃんを愛した。


ただ人と考え方が
ずれてるだけで
本当は優しい奴なのに。

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