tone
『あたし……………あなたの事、お母さんって言ってた………。』








『思いだしてくれたの?』









『まだはっきりとは………だけど今からゆっくり思い出していいですか?』









『もちろんよ!!』









そう言ってお母さんはあたしを抱き締めた。








あったかい……………。









あたしはついに本当の家族に出会えた。









もう…………寂しくなんかないんだ。









だけど現実はそう甘くはなかった。









『歌音………。思い出したばかりなのに悪いんだけど………今のところ、世間では『詩月歌音』は存在するの………。』









忘れてた………。









お祖父様が確か偽物の『詩月歌音』さんを引き取ったんだった。









『そこでお祖父様に納得してもらうために明日、家に来てもらえないかしら?』









ゴクッ…………









ていにお祖父様との対面か………。









『分かりました。』









でも大丈夫。









きっとお母さんが助けてくれるから。









あたし達は知らない。








まさか明日が運命を分ける日だと言う事を。
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