tone
『歌音にそっくりなあいつを見て、ある事を考えたんじゃ。
“この子を歌音の代わりにすれば”………と。
幸い、この子は弧児院に住んでいて身寄りはいない。
だからその子は喜んで、引き受けてくれたよ。
“家族が出来た”………と。
だから………だから………。』









と突然、お祖父様があたしに土下座をしてきた。









『許せ、歌音!!!
悪気はなかったんじゃ。
ただ…………ただ淋しかっただけなんじゃ………。』









そう言うとお祖父様は急に泣き出した。









この人は…………









本気なんだ………。









あたしは直感した。









「おじい様。









もう泣かないでください。









あたしも最初は許せなかった。









何で本当のあたしを探してくれなかったんだろう?って、









だけどもういいんです。









あたしのために涙を流してくれた。









それだけで十分だから。」









そしてあたしは静かにおじい様を抱きしめた。









「歌音・・・・・すまん・・・。」








おじい様はまた静かに泣き出した。









これで全て終わると思った。









しかし現実はそう甘くなかった。









「どういう事?」









突然、ドアの方から声が聞こえた。
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