tone
『何で君にそんな事が言える訳?』



『そんな事なかった!!!だってあたしの返事は……』




yes だったから。




頭の中では思い出せない。



だけど心が覚えてるの。




『彼が好きだった』と。




『もう少し………もう少しだけ待ってよ。』



『…………。』




『答えてよ!!!









奏ちゃん!!!!!』




『………嘘……だろ?』



『えっ?』



『何で昔、歌音が呼んでた名前が分かった?親に聞いたのか?』



『ううん。みんな、“奏矢君”って言ってたし、









微かな記憶にあたしが誰かを“奏ちゃん”って言ってた気がする。』




その時、




彼が急にあたしを抱き締めた。




『えっ……奏ちゃん?』




『俺を“奏ちゃん”と呼ぶのは歌音だけだった。



美唄歌でさえ、それに気づけなかった。



だから俺は歌音が死んだと思った。



もう、あの声も、顔も見れないと思うと胸がちぎれそうになった。』





それだけ、あたしを愛してたの?




あたしは幸せだったんだ。



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