tone
『ごめんなさい。』


あなたの手を離してしまって。


『きっと昔のあたしは幸せだったと思うよ。』


あなたが側にいたから。


『ホント……かな?』

『うん。』


だってこんなに愛されてたんだよ?


孤児院にいた頃のあたしに、愛なんか関係なかった。


何も知らないあたしを愛してくれる人なんて、


本当のあたしを見てないと思った。


だから彼の事を聞いた時、



あたしは多分愛してたと思う。


だからこそ嫌だった。


記憶にあるあたしは、


記憶を失う時以外、笑った。


『あたしは思い出すよ。



あなたの為に。』


そしてあたしたちは









自然とキスをした。


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