tone
あたしは頭を押さえ始めた。


奏ちゃんはそれに気がつき、


『無理に思い出すなよ?』


と、優しい声音で言ってくれた。


『でも思い出さなきゃ不安なんだもん……。』


あたしは本当に奏ちゃんを愛してたの?


奏ちゃんは今までずっとあたしを愛してたの?


さっきまで嬉しかった事が全て不安に変わる。


そんなあたしに奏ちゃんは、









チュッ。


触れ合うだけのキスをプレゼントしてくれた。


その瞬間、あたしの中の不安は全部飛んでいった。



頭痛もついでに飛んでいったみたい。


『こうすれば不安にならない?』


奏ちゃんはあたしの考えを見透かしたかのように聞いてきた。


『………バ~カ。』


あたしが不意討ちに弱いって知ってたんだ。


当たり前だよね?


実際、12年間一緒にいたんだもん。


あたしは思い出せないけど。


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