tone
バチバチっと跳ね返る水の音。



あたしは人の目も気にせず走った。



いつからかな?


奏ちゃんが男の子にみえたのは。


幼なじみで傍にいてくれた奏ちゃん。


親がいなくって、寂しかったあたしの隣にいた奏ちゃん。


だからあたしはいつも愛に満ちてた。



寂しいなんて、あんまり想わなかった?


だからかな?


いつも気持ちが通じてるって。



奏ちゃんはあたしを裏切らない。



そんな甘い考えを持ってたのは。




奏ちゃんだっていつか好きな人は出来る。



あの人みたいに、ね?


あたしがいけなかったんだ。


あたしが我が儘だから……


いつも奏ちゃんを困らせてる。



結局あたしは奏ちゃんの幼なじみ。



友達以上、恋人未満。


奏ちゃんの特別にはなれない。


幼なじみって残酷だね?


一番近い存在なのに、

一番遠い存在に見えるよ。



でもあなたは優しいから、









『歌音!!』



こうやってあたしを追いかけて、



手を掴んでくれるでしょ?



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