tone
『話を聞けよ!!』


いつもとは違う、険しい表情で言ってくる奏ちゃん。


雨に濡れてるあたし達の繋がってる手だけ、


温かく、熱を帯びてた。


だけで今はそれさえ、あたしを苛つかせた。


『離して!!』


パチッ!!


あたしは自然と奏ちゃんの手を離した。


知ってる?奏ちゃん。


『信じてたのに……。』



中途半端な優しさって、









『こんなの酷いよ………。』


結構残酷なんだよ。


あたしは走り出した。


この時、奏ちゃんが何を想ったのかも知らず………。









……………………………

『……ん……。』


『歌音……?』


……奏ちゃん?



『奏………ちゃん…。』


『歌音!!!!』



ギュゥ~とあたしを抱き締めてくる奏ちゃん。


そんな奏ちゃんはあの時より、大人びてた。


相変わらず、部屋にあの曲が流れたまま。


どうやらあたしは気を失ってたらしい。


< 45 / 133 >

この作品をシェア

pagetop