tone
『詩月 歌音さん。


いえ……歌音。


話があるからちょっといいかしら?』


そう言った演坂さんの瞳は、



怒りと哀しみと喜びの混ぜ合わせ。



『演坂さん。本当に……『いいよ。』


『歌音!?』

『あたしに話があるんだから。


奏ちゃん、心配してくれてありがと。』



あたしは奏ちゃんに笑顔を見せて席を立った。


本当は怖かった。


彼女の瞳が感情の混ぜ合わせだった原因はあたしにあるって、


何となく空気から分かったよ。


だからこそ、


解決しなきゃ。


例え今のあたしに昔の記憶が失くて、



昔のあたしが彼女に深い傷を負わしたなら、


今のあたしが、



彼女を受け止める。


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