tone
『それはみんな承知の上だったはずだし……。』










『でもあたしは、誰も傷つけたくないの。


孤児院にいた頃も、裕果梨や準って言う友達に迷惑かけまくった。


だから嫌なの。』



人に迷惑かけたくないなんて言わない。


だけど出来れば精一杯、迷惑はかけたくないの。


『………俺の部屋。』


『……え?』


『俺の部屋に隠し部屋がある。

そこはtoneの練習場所であり、toneのCDが全部置いてあるから。』


『ホント!?』


『ホント。


だから今は安静にしてて。

演坂さんに想いを伝える前に、歌音がしっかりしてなきゃ、ダメだろ?』


ピシッ!!

『いったぁ……。』


『分かったら早く寝る。


僕が傍にいるから。』


“何年、何十年、何億年でも傍にいる。

それが叶うなら僕は歌音の事しか望まないから。


僕の幸せは、歌音が傍で笑ってくれる事なんだよ。”


………聞こえた。


奏ちゃんの声が。


また、記憶のピースが。


『………うん。』


でも言わない事にした。


だってもしその約束をしたって思い出したら、



奏ちゃんは自分を責めるでしょ………?


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