tone
「でもtoneは休止しざるえなかった。」

あたしがいなくなったから。

ボーカルのいないバンドなど

最早鳥のいない鳥かごに過ぎない。

誰から見ても最高だったバンド。

それをあたしが

「壊した……。」

あたしが、この身で。

その時、

ガチャン!!

何かが落ちる音が聞こえた。

「…………何?」

と落ちた物を拾おうとした。

しかし、

指に何か触れた時、

突然頭の中がflash backした。

…………………………

“ね、カバーはこんな感じにしない?”
“これは?”

“ん、小指と小指を絡ましてるの。

指切りみたいでしょ?”

“うん。”

“これはまた明日って約束してるの。

例え離れてもいつもこの言葉を覚えてたら、

明日が待ち遠しくなるでしょ?”

明日が、
未来が、
輝けるように、
願いたい。

そんな想いを断ち切るように、

あたしは頭を降って、

その曲を持って、コンポの中に入れた。

見なくても分かった。

あのカバーはきっと、

twinだって。

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