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滑らかな手で、

あたしの頬を包み込む。

そしてその後には、


蕩けるくらいの極上のキス。

もがいてもがいて、

苦しんで苦しんで、

やっと手に入れられた愛。

絶対、離したくない。

そうあたしは願い続けた。

段々長いキスに、

苦しそうな息づかい。

そんな甘い時間にクラクラして、









『……!!』

突然体の力がガクッと抜けてしまった。


必然的にベッドへ倒れ込むあたしと奏ちゃん。

しかし尚も奏ちゃんはあたしに大量のキスの雨を降らす。

そんなキスに、


ほろ酔い気分なあたし。


唇、頬、首、鎖骨…



奏ちゃんの手があたさのパジャマへと写った時、


あたしの脳内には、


また目を覚ましてしまうような物を感じた。


あれはお母様が迎えに来た放課後。

当時の親友・祐果梨にも言えなかった、


自分が自分でいなくなりそうな話。

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