tone
『歌音には……









叶わない事がどれだけ辛いか分かんないんだよ!!』


………今度はあたしが泣きそうになる番だった。


あたしだって迷った時はある。


『……知ってるよ。』

『え、?』



『李亜が奏矢にキスした時、









あたしだって同じ想いしたよ!?』

恋が楽?

な訳あんの?

『ぢゃあ李亜はどうなのよ!?

今までずっとあたしの代わりに奏矢の傍にいてさ、』


『ちょ……歌音、』


『李亜は知らないでしょ?


奏矢の優しさに降れると











涙が溢れそうになるんだよ……。』


どうしてあたしは記憶を失ってるんだろう?


『思い出したくても思い出せなくて、』


でも奏矢はあたしを愛してくれて、

『好きなのに、離れた方がいい気がするの。』


だって奏矢は優しいから



『──あたしのせいで、奏矢はどんどん傷ついていくから。』


今日の行動だって、

あたしがいなくなった事だって、


『無理して笑ってるのが、感覚で分かるんだよ……!!』

あなたはきっと、傷ついた。

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