tone
『───歌音ちゃんに、僕の気持ちが分かるの?』


はっ!?


気がつけば後ろに眉を潜めた奏ちゃんがいた。


『……分かんない。』

『ならもういいじゃないか。

僕は、ただ君の傍にいたいだけ───』

『あたしは奏ちゃんが傷つくのを見たくない。』


愛する人が傷つく所なんて、

誰も見たくないに決まってんじゃない。

あたしなんかの傍にいたって、


何も良いことなんてない。


だってもう囚われてしまった。


恐ろしい過去に。


『これ以上、奏ちゃんに何をするか分かんないから。』


あたしは逃げ出そうとした。


しかし、









『───なら、今から出ていけばいいじゃない。』



『………美唄歌さん!!』

あたしの姿をした美唄歌さんが現れた。


どうして……?

だって美唄歌さんは家に……。


『あなたにこの家を継ぐ気はない。

そして、それを証明する術もない。

……どうやって、あなたを詩月 歌音と信じればいいの?』


言われればそうかもしれない。


あたしには、れっきとした記憶はない。

霧の様に薄暗い過去は分かるけど。


………でも分かる。









『あたしは、自分が詩月 歌音と言う事は分かってる。』


twinの記憶も、twinkle starの記憶も、


全部他の人では知りえないmemory



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