間違い電話 ~もう一つのお話~
あれから美優とあまり話さなかった。


それを見かねた圭が、俺と美優を飲みに誘ってくれた。


「優一、今日は喧嘩しちゃダメよ。」


「分かったよ。」


そう言った圭。


たぶん美優にも同じ事を言ってくれたのだろう。


美優はいつも通りだった。


そして、楽しい時間は過ぎていった。



気が付いたら、もう12時近く。


今日の飲みは圭に感謝だな。


そんな事を思っていると、俺の目の先には人事の中田がいた。


中田・・・?良く見ると隣に女性がいた。


あれは、どう見ても付き合ってるとしか思えねぇ。


やっぱりあいつに美優はあわない。


美優・・・あっちを向くんじゃねぇぞ!


俺は傷つく美優を見たくなかった。


と、一瞬美優の動作が止まった。


「智之・・・?」


あ・・・見つけちゃったのかよ・・・。


俺の思いも空しく崩れ去った。



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