間違い電話 ~もう一つのお話~
「私ってマサルさんになら何でも話せますね。」


本当だな。


俺も素直に話せてるけど。



「私いつも話し聞いてもらってばかりで、マサルさんの話も聞きたいです。」


えっ?


俺の話?


俺の話は、美優がよく知ってるよ。


でも、言えない。


俺は美優を騙してる。


俺は本当は、優一なんだから。




「マサルさん・・・彼女とかいるんですか?」


何でそんな事、聞くんだ?


「いたら、淋しい?」


「うーん。少しだけ。」


優一に彼女がいても、淋しいって言ってくれる?




「俺が彼氏に・・・。」


「えっ?」


やばいやばい。


その後何を言おうとしてたんだ?


「冗談冗談!今の忘れて?」


「はい・・・。」


本当はこう言いたかった。


『俺が彼氏になってやるよ。』


マサルじゃなくて優一が・・・な。



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