年下がダメな理由
1.ミントの香り
私、水野葉子。35歳。
広告代理店で勤務をしている。
小さな会社、30人程だ。

大学を卒業して、20社以上の会社を受けた。
そして、受かったのが、今の会社。

自分なりに充実している毎日。
せわしなく過ぎる日々。

年齢的に・・・。
責任のある役職。
主任なんです。


今日も、いつものよう社内は立て込んでいた。

「垣田さん。明後日のプレゼンの用意整ってるの?」

プレゼンの、参考資料片手にミニスカートの女の子に問いかける。
俯き加減の彼女、垣田安子。

やっぱりなぁ・・・。

心の中の、鐘が鳴った。
ガーン。ゴーン。

案の定、手を付けてない・・・。
任せた私がバカだった・・・。

『しっかり、してよ。もう3年目でしょ?』

私、ついつい罵声を浴びせてしまう。
今風のぴったりのスーツにミニのスカート。
仕事より遊び優先・・・。

当たり前か・・・。

彼女のパソコン画面を覗くと、華やかなデザインのページが開かれていた。
っていうか、仕事中にブログ更新って・・・。
ありえないでしょ。
怒る気も失せるわ・・・。

「葉子さん。ちょっといいですか?」

遠くから佐々木明の声。唯一の同僚、男。

「新聞社からの連絡で、明日原稿飛ぶものが出るみたいです。」

(゛飛ぶ″とは、広告が載らなくなる事)

『そう・・・。じゃ詳細確認して、各クライアントに連絡入れて。』

「了解!」

すぐさま彼は、電話に向かい、連絡を取っている。
さすが、仕事が速くてよろしいわ。

私は・・・というと、社内を行ったり来たり・・・。毎日の日課になっている。

ここに来るまでは、企画・デザインを担当していたが、一昨年移動になった。
会社が、チーム専属のスタッフを雇ったからだ。必然的に外された。

・・・基本的には、営業。
でも全般的に対応している有様・・・。




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