甘いあまい☆マーマレード

 サッカーの事、勉強の事……あれとこれと話しているうちに、二丁目の十字路に差し掛かった。


 「あ、私ん家こっちだから」

 「そっか、なぁ筒井」

 「何?」


 自転車の押したまま振り返る。


 「忘れてない?」

 「……?」

 「受講料」


 そんな事気にしているなんて可愛いところあるね


 「覚えてるよ、クッキーでよかったら今度焼いてくるよ」

 「いや、折角だけど俺甘いの苦手だから(笑)」


 甘いもの苦手かぁ


 「そう……じゃ、何をお礼に――」


 考え込んでいるうちに頬に冷たくて柔らかい感触。


 えっ!?


 「もう、貰ったよ。じゃ、またね」


 沈みかけた太陽に反射されているのか?

 金井くんの頬が赤らんでいる。

 金井くんの自転車の籠からカバンをワタシの自転車に入れ、

 風のようにペダルを漕いで……行っちゃった。



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