甘いあまい☆マーマレード
 
 靴の中に折り畳んであった小さなメモ紙を握りしめ、階段を駆け上がる。


  ― ギィッ


 屋上の重い扉を開ける。

 生暖かい湿った風と春先に吹く冷たい風が入り交じったものが肌に感じる。

 その先には、柵に凭れかかり胡坐をかいている一人の姿。


 「よぉ!」


 私に気がついた彼は笑顔で声をかけてきた。





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