甘いあまい☆マーマレード

 俺は、柚朱ちゃんの背中をそっと包み込む。


 「離してください」

 「離さないよ、俺……今本当に大切にしたいのは柚朱ちゃんだけだから」


 さっきよりも腕に力を入れ、彼女が立ち去らないようにしっかりと抱きしめる。


 「……」


 君には、どんな些細なことでも解ってもらいたい。だから――


 「今日、彼女の誕生日だったんだ」

 「そう……」

 抵抗はしなくなったが、理解はされていないのが背中から感じる。


 「サークルメンバーの誕生日の日にはお祝いをしなきゃならないんだって」

 「……」

 「俺もさっき知ったんだ……東條に聞いてね」

 「とうじょう?」


 初めてこの名前を聞いたのか? 一瞬だけ振り返った彼女の顔は不思議そうに見つめてくる。


 「そう、さっき柚朱ちゃんたちと一緒にいた人」

 「……」


 こんな事、急に言って信じてもらえないかな?


 「彼女だけじゃない、全メンバー行われるんだって」


 けど

 俺、離さないよ

 君が解ってくれるまでは


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