甘いあまい☆マーマレード

 「……そんな大事な日なら…戻ってください」


 暫くして漸く彼女が口を開いた。


 「戻らないよ」


 決めたんだ


 「ダメです。誕生日は特別なんですよ」

 「……」


 俺にとっては君がこの腕の中から消えて仕舞う事のほうが、問題なんだ。


 「私なら平気です」


 彼女の背中から強がる感じがヒシヒシと伝わってくる。

 どうして?

 どうして、いつも一人で抱え込もうとするの?

 周りからの視線が飛んできているにも気が付かず、ずっと彼女を抱き締め続けている。


< 162 / 212 >

この作品をシェア

pagetop