甘いあまい☆マーマレード
「どうしたの?
この曲一美の十八番でしょ?」
「今日は調子出ないなぁ」
明るく言う一美の顔色は良さそうだけど……
「具合わるいの?」
「柚朱~、アンタのメンテナンスが先でしょ?」
「私の?」
メンテナンスって?
いつの間にか次の曲が流れ始めてる。
「このままじゃ、前にも進めないよ?」
「……」
もう、十分だよ。
「アンタが一方的に話を進めて勝手にドツボにはまって、そんなの見ていられないから」
「……」
「ケリつけるよ」
「ケリ?」
一美の考えが読めないよ。
「そう、先輩の言葉まだ聞いてないんでしょ?」
「聞かなくていいよ」
「ダ~メ」
いたずらっ子&お節介モード全快の笑顔になっている。
私は、頑張ったもの。
先輩の言葉を聞いてしまって、『迷惑』とか言われちゃったら、きっと、もう学校にこれなくなる。
だったら、聞かなくていいのに。