甘いあまい☆マーマレード
「ねぇ、キミ」
不意に後ろからの声。
「私ですかぁ?」
それに反応したのは、一美。
「いや、ごめんキミじゃなくって隣のキミ」
「柚朱だって~」
「えっ!?」
一美の言葉に振り返る。
「あっ……」
普段、男の子から声がかかるのは私ではなく一美。
だから、全く予期せぬ事だった。
今目の前にいるのは、紛れもなく
……惺先輩。
「ユズちゃんって言うんだね?
可愛い名前だね」
「あ、はい。
…ありがとうございます」
どうして先輩が此処に?
「私、先行くね♪」
「一美待ってよ」
私の声が届いているのか、いないのか、ランチボックス片手にスキップしながら、一美は校舎の中に消えた。
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