甘いあまい☆マーマレード

 俺は、彼女の手を強く握り返す。


 「少しだけ…時間くれないかな?」


 女の子から二度も告白されて、“時間”はないかな?


 「時……間?」

 「うん、柚朱ちゃんの事まだよく知らないし、今直ぐは答えられない。だけど、ちゃんと考えて必ず返事する」


 俺、キチンと向き合いたいんだ。分かってくれるかな?


 「……わかりました。私……待ってますから」


 彼女の言葉が胸に刺さる。

 繋いでいる俺の力が弱まり、俺の手から離れた彼女は去って行った。

 笑顔というより、無理に作っているような……

 直ぐに返事出来なくてごめん。

 必ず答えを見つけるから。

 彼女の背中に向かって心の中で呟き、俺は、なんともいたたまれない気持ちで一人取り残された。



< 84 / 212 >

この作品をシェア

pagetop