藤色アイルランド
同時刻真祖が居城暗黒城アンドロメダ御前会議の間(ウラニ・ボルグ)ではバタフライ・コンツェルン壊滅に事件の疑ありとして吸血十二宮とケルヴ王の会談が行われ、私リーオー・シャルル・シュヴァリエも参列していた。
「トーラスにヴィルゴの席は空席か・・・各々の責務の最中であろう。」
「時にリッター卿、貴公は今回の件をどう見る?」
サジタリウス・アドルフ・リッター侯爵、私の古くからの盟友にしてサジタリウス(射手座)の座の所有者。豪勇の士にして豪放磊落たる勇士だ。
「バタフライは人間の王族直轄の財団、そう簡単には壊滅しますまい。大方、ジブリィル重工とやらが武力を以てバタフライを壊滅させ、勢力を乗っ取ったのでしょう。」
陛下はありうる話だとうなずき、
「ではシュヴァリエ卿はどう見る。」
まぁアドルフが来れば当然私もとなる訳だな。
「私もアドルフと同じ意見にございます。」
「そうか・・・してメタル卿、バタフライ・コンツェルンは貴公の科学研究機関及び技術開発局傘下だが、壊滅の危機にはなかったであろう?」
陛下はメタル男爵を一瞥し問うた。
「左様にございます。陛下。バタフライは壊滅も乗っ取りも許さぬ状態でございました。」
ピピピッ
カウント伯の席から電子音が出た。
「失礼、サンドリヨン嬢から入電にございます。」
殿下はどうしてこのタイミングでと不思議な顔でカウント伯を見た。
「バタフライ壊滅、これは裏でジブリールが関与しているだろうと見た私はバタフライのマレーン嬢がちるみくんたちと真相究明に乗り出し、これにサンドリヨン嬢も参加したと聞き、彼女にカラテの情報収集を依頼しておりました。」
「ほう、それで来た情報を話してもらおう。」
「御意のままに陛下。ジブリール本社において我々が生産を依頼していない種類の武器が多数発見され、各軍、各隊の武器、メカ依頼状況を照会したところ該当なし。また製造禁止のオートマトンがキルモードで大量投入され、おそらくまだ大量にオートマトンがある可能性も。憶測ですが、クーデターを起こす可能性もございます。」
クーデター?企業がクーデターを起こす話は過去にあっただろうが・・・。だが話を聞けばジブリール重工がクーデターを確かに起こしかねないな・・・。
「陛下いかがなされますか。」
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