戦国遊戯
ひひーん!

馬が途中で止まった。見ると、一面、兵士の死体であふれていた。

「…なにこれ」

愕然とする。馬から降りて、生きている人がいないかどうかを探した。血の匂いでむせ返る。吐き気がした。

「誰か…誰か…!」

喉が張り付くような感覚になり、声が出ない。状況の把握ができない。

「れ…れい…こ……様…」

「ど、どこ!?」

声が聞こえた。あたりを見回す。1人の兵士が頭を起こしていた。

「あ、あなた!」

柿崎を本陣へ連れて行ってもらうよう、お願いしていた人物だった。


……目がつぶされていた。


「何があったの!?」

「すみません、それが…」

そばに駆け寄り、体を起こした。うぅ、と呻きながら、男は話した。

柿崎を連れて行っている途中で、何者かの襲撃を受けたとのこと。そのとき、くくっていた柿崎の縄を切られてしまい、柿崎に切りつけられたらしい。

「は、早く…武田様のところへ…。玲子様、お願いです。武田様を…」

ぐっと言ったかと思うと、口から血を吐いた。

「ねぇ、やだ!しっかりして!わかったから、もうしゃべらないで!」

「はや……たけ…さ……ま……」

ずん、と、支えていた体が重くなった。

「や…だ……い、いやぁーー!」
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