戦国遊戯
「うぅ…あぁぁ……」

ぎゅっと体を抱き寄せた。手についた血が、どんどんと冷たくなっていく気がした。


だめ、ここで泣いてる暇なんてない。


「後で、必ず。迎えに来るから」

そう言って、地面にそっと横たわらせると、馬に乗って、本陣へと急いだ。


わあぁぁぁぁ!
きぃん、がきいぃぃん。

叫び声と、金属のぶつかり合う音が聞こえてきた。
本陣はもう、目の前だ。

「しんちゃーん!」

大声で叫んだ。力の限り、叫んだ。

本陣に到着すると、大勢の兵達が刃を交えていた。目の前には凄惨な状況が広がっている。
今まで、ワールドヒストリで、何度も戦争はやってきた。
でも、こんなんじゃなかった。

こんな、こんな…

目を背けたくなるような状況の中で、1人の武将が柿崎に刺されたのが見えた。

「もう、やめてぇ!」

馬から降り、その場を駆け出し、兵達をかきわけ、柿崎のそばへと走り寄った。

柿崎の所へと到着したときには、もう1人の武将が刺されていた。赤い血が噴出す。その血がかかった。

「うわあぁぁぁぁぁ!」


頭が真っ白になった。
気がつけば、鞘から脇差を抜き出し、柿崎へときりつけていた。
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