戦国遊戯
***** 信玄's View *****

「しんちゃーん!」

玲子の声が聞こえた気がした。玲子は最前線へ行かせていた。柿崎が本陣に乗り込んできていた時点で、もう、死んでしまったと思っていたからか、最初は幻聴かと思った。

周りの敵兵をなぎ倒しながら、あたりを確認した。

「玲子!?」

馬に乗った、玲子の姿が見えた。無事だったのか、と、ほっとした。だが、ほっとしたのもつかの間だった。

「ぐわぁ!」

「勘助!!」

勘助が柿崎に刺されていた。

「おおぉぉぉぉ!」

勘助の元へと行こうとすると、味方兵に止められた。

「な、何をする!」

「武田様!ここは一旦、お退きください!」

「えぇい、離せ、離さぬか!」

振りほどこうとしたとき、弟の信繁が続いて討たれた。

「信繁ぇ!」

叫んだのと同時だった。


「うわあぁぁぁぁぁ!」

叫び声とともに、玲子が柿崎のところへ詰め寄った。


がきぃん!


大きな金属音が鳴り響いた。
< 102 / 347 >

この作品をシェア

pagetop