戦国遊戯
変わらない歴史
***** 玲子's View *****
逃げる柿崎を追いかけようとしたら、誰かに止められた。
動けなくて、情けなくて、つらくて、悔しくて。
ただひたすら、泣き喚いていた。
気がつけば、幸村が抱きしめていた。大丈夫だ、と、何度も優しくつぶやきながら、ぎゅっと、抱きしめていてくれていた。
負傷者の手当て周りでしていた。出陣前には、あんなに人がたくさんいたのに、今では半分以下になっている。
私の、せいだ。
私が、自分で本陣へ、柿崎を連れて行かなかったから。
いや。
信玄に、躊躇うな、と、言われていた。自分だけじゃなく、仲間のために、と。
私が、あのとき、殺さずに捕らえるなんて事をしなければ。あの人だって、目をつぶされて、殺されることもなかった。
あのときに、躊躇わずに、この手で殺していれば。
自分の手をみた。
血で、真っ赤に染まっている。
「あは…あはは、は…」
目から零れ落ちる涙が止められなかった。
私のせいで。
私のせいで、大勢の人が。
私の……
「いかなくちゃ」
すっと立ち上がった。
あの人を迎えに行くと、約束したんだ。
「玲子?」
「いか…なくちゃ…」
「玲子!」
幸村に腕をつかまれた。
「いかなきゃいけないの!」
手を振り解いて、走り出した。
逃げる柿崎を追いかけようとしたら、誰かに止められた。
動けなくて、情けなくて、つらくて、悔しくて。
ただひたすら、泣き喚いていた。
気がつけば、幸村が抱きしめていた。大丈夫だ、と、何度も優しくつぶやきながら、ぎゅっと、抱きしめていてくれていた。
負傷者の手当て周りでしていた。出陣前には、あんなに人がたくさんいたのに、今では半分以下になっている。
私の、せいだ。
私が、自分で本陣へ、柿崎を連れて行かなかったから。
いや。
信玄に、躊躇うな、と、言われていた。自分だけじゃなく、仲間のために、と。
私が、あのとき、殺さずに捕らえるなんて事をしなければ。あの人だって、目をつぶされて、殺されることもなかった。
あのときに、躊躇わずに、この手で殺していれば。
自分の手をみた。
血で、真っ赤に染まっている。
「あは…あはは、は…」
目から零れ落ちる涙が止められなかった。
私のせいで。
私のせいで、大勢の人が。
私の……
「いかなくちゃ」
すっと立ち上がった。
あの人を迎えに行くと、約束したんだ。
「玲子?」
「いか…なくちゃ…」
「玲子!」
幸村に腕をつかまれた。
「いかなきゃいけないの!」
手を振り解いて、走り出した。