戦国遊戯
***** 幸村's View *****
玲子は泣き続けた。ずっと、ずっと。
その泣き声だけが、辺りにこだましていた。
「玲子様!?」
兵達が玲子に声をかける。どれだけ泣いていたかわからないくらい時間がたったとき、玲子の泣き声が止まった。
「どうした!」
そばに駆け寄ると、目を真っ赤に腫らし、すぅっと寝ている玲子の姿があった。
「…泣き疲れたんだろう。そっとしておいてやってくれ」
「はい…」
玲子の目からは、涙がまだ流れていた。その姿を見ると、胸が痛んだ。
信玄の元へ、玲子の状態と事情を、話しにいった。
「そうか」
信玄は、話を聞き終わると、ふぅ、と溜息をひとつついた。
「わしは、とんでもないことをしてしまったのかも知れんな」
悲痛な面持ちで、頭を抱える信玄。その姿に、幸村は、何も言えなかった。
「戦を望まぬ民でも、戦場へ引っ張り出し、これまで何度も戦いを続けてきた。玲子も、同じようにしただけと、そう思っておったが。戦が、ここまで人を壊してしまうものなのか」
遠くを見つめる信玄。
「お館様。戦に出ることは、玲子自身が望んだことです。強要されたわけでもなく、自分の意思で。確かに、俺も、もっとちゃんと、玲子を止めればよかったと、何度もそう思いました。ですが、最終的に決断したのは、玲子自身です。厳しいかもしれませんが、今回のことは、玲子自身が、乗り越えてゆかねばなりません。我々は、ただ、見守るしか…」
そう言って、何もできない、力になれないと、改めて思い知った。自分の力のなさが歯がゆくて、玲子の寝ている方を見ながら、ぎゅっと、こぶしを握り締めた。
「そうじゃな。命の重さを知れば、背負うものが増えてゆく。そして、それを背負って生きてゆくのは、わしらの定めじゃからの…」
信玄がはぁ、と息を吐く。
「幸村よ。玲子を守ってやってくれ」
幸村は何も言わず、ただ、深く、頭を下げた。
玲子は泣き続けた。ずっと、ずっと。
その泣き声だけが、辺りにこだましていた。
「玲子様!?」
兵達が玲子に声をかける。どれだけ泣いていたかわからないくらい時間がたったとき、玲子の泣き声が止まった。
「どうした!」
そばに駆け寄ると、目を真っ赤に腫らし、すぅっと寝ている玲子の姿があった。
「…泣き疲れたんだろう。そっとしておいてやってくれ」
「はい…」
玲子の目からは、涙がまだ流れていた。その姿を見ると、胸が痛んだ。
信玄の元へ、玲子の状態と事情を、話しにいった。
「そうか」
信玄は、話を聞き終わると、ふぅ、と溜息をひとつついた。
「わしは、とんでもないことをしてしまったのかも知れんな」
悲痛な面持ちで、頭を抱える信玄。その姿に、幸村は、何も言えなかった。
「戦を望まぬ民でも、戦場へ引っ張り出し、これまで何度も戦いを続けてきた。玲子も、同じようにしただけと、そう思っておったが。戦が、ここまで人を壊してしまうものなのか」
遠くを見つめる信玄。
「お館様。戦に出ることは、玲子自身が望んだことです。強要されたわけでもなく、自分の意思で。確かに、俺も、もっとちゃんと、玲子を止めればよかったと、何度もそう思いました。ですが、最終的に決断したのは、玲子自身です。厳しいかもしれませんが、今回のことは、玲子自身が、乗り越えてゆかねばなりません。我々は、ただ、見守るしか…」
そう言って、何もできない、力になれないと、改めて思い知った。自分の力のなさが歯がゆくて、玲子の寝ている方を見ながら、ぎゅっと、こぶしを握り締めた。
「そうじゃな。命の重さを知れば、背負うものが増えてゆく。そして、それを背負って生きてゆくのは、わしらの定めじゃからの…」
信玄がはぁ、と息を吐く。
「幸村よ。玲子を守ってやってくれ」
幸村は何も言わず、ただ、深く、頭を下げた。