戦国遊戯
周辺にある遺体を、手の空いている者たちに命じて、一箇所へ集めさせた。大きな穴を掘り、集まってくる遺体を次々と穴の中へと入れていく。

いつも、この作業をしている時の、兵達の表情は暗い。


数時間がたち、遺体を入れ終わったところで、上から土をかぶせていった。埋め終わると、そっと、その前で、手を合わせて、静かに祈った。他の兵達も、同じように手を合わせていった。


「うわぁぁ!」

「れ、玲子様ぁ!」

その時、兵達の声が聞こえた。声のした方を向くと、馬に乗った1人の人影があった。その馬には、横たわった玲子の姿が見える。

「玲子!」

急いでその場にかけていく。が、相手は馬に乗っていて、そのままその場を立ち去っていった。

「玲子!!」

玲子を見ていた兵達が、傷を負っていた。

「大丈夫か!?」

「真田様。申し訳ありません。玲子様が!」

肩や脇から、血が出ていた。

「何があったのだ!?」

「それが…」

兵の1人が話し出す。

「変わった形の男が、突然やってきて。おらたち、玲子様を守ろうとしたんだども、吹っ飛ばされてしまって。そのまま玲子様を、馬に乗せて、どっかへいっちまったんだ!」

「申し訳ねぇべ…本当に、申し訳ねぇ」

うぅっ、と悔し涙を流しながら、地面を叩いている兵達。もう、見えなくなった玲子の姿を探して、馬の駆けていった方を見た。
< 113 / 347 >

この作品をシェア

pagetop