戦国遊戯
「玲子」

慶次に呼ばれて、なに!?とキツい口調で答えた。

「いや、あいつのことなんだけどよ、あぁみえて、結構良いやつだからさ」

「はい!?どこがさ!?」

慶次の言葉に、目を丸くした。今のやり取りのなかで、謙信をいいやつなんだと、どこで感じろというんだと、呆れたような顔になる。

「あいつはさ、昔から、女であることが嫌で仕方がなかったんだよ」

慶次の言葉に首をかしげた。

「俺はあいつが強ぇことも知ってるし、統治者としての力があることも認めてる。俺はあいつの事を尊敬してるんだ」

「すごいね」

「あぁ、あいつは凄いんだ」

別に、謙信に対しての言葉ではなかったが、なにか誤解されたようだ。

「だけど、あいつは、女だというだけで、家督を継ぐことができなかったり、臣下からも軽んじてみられたり、結構辛い思いをしてきたんだ」

「………」

「そんなときに、武田の殿様に、信頼されて、大事にされてるあんたの存在を知って、たぶん、興味がわいたんだろう。そして、実際に会ってみて、あんたを気にいった」

「…あれで?」

けらけらと慶次は笑った。
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