戦国遊戯
「あぁ、あれで、だ。あいつは、興味のない人間を、そばに置いておくほど、いいやつじゃぁない」

慶次の話で、少しばかり、同情のような感情が芽生えた。


が。


「境遇はかわいそうかもしれないけど、私が拉致られて、しかも、監禁までされてやる理由にはなんない」

はぁ、とため息をつくと、慶次はまた笑った。


「あっははは!謙信の奴が気に入るわけだ!」

そう言うと、頭をくしゃくしゃと撫でられた。

「なんでよ。気に入られなくていいんですけどっ!?」

きぃっと顔をしかめた。

「…で?慶次さんはなんでいるの?確か、前田っていえば、織田と同盟組んでるんじゃなかったっけ。謙信と仲良くしてていいの?」

「へぇ、よく知ってるねぇ。ま、俺は前田の居候みてぇなもんだ。利に迷惑かけねぇ程度に好き勝手はさせてもらってる」

ふぅん、と、慶次をみた。まぁ確かに、自由奔放って感じはするかな。

「それにしても、謙信って、信玄さんのこと、好きなのかな」

はぁ、と息をついてぽそっと呟いた。

「…なんだって?」

「なんかさ、謙信が、嫉妬してるみたいだったから」

慶次の笑い声が、辺りにこだました。
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