戦国遊戯
「な、なによ!?」

少しびっくりした。そんなに笑うことはないだろう。男と女だ。どこでどう転んで、好きだのなんだのという話になるかなんてわからない。

「いやぁ、そんなことをいう奴ぁ、初めてだ!」

答えになっていない!と、ぷぅっと頬を膨らませた。

「ま、確かに、謙信の奴は、信玄に対して異様なまでの執着を見せてるからなぁ」

そんなにおかしいことを言ったのだろうか?と思うくらい、慶次は腹を抱えて笑っていた。

「ま、でも。そいつは思っても、間違っても本人には言わねぇ方がいいと思うぜ?」

くくっと笑いながら言った。

「多分、問答無用で打ち首になる。死にたくなけりゃぁ、黙っておくこったな」

そう言いながらも、慶次は腹を抱えて笑っていた。

「なによ。そんなに笑わなくってもいいじゃん」

はぁ、とため息をつくと、立ち上がって、部屋を出ようとした。

「あれ?玲子、どこに行くんだ?」

「…逃げる方法探すの」

「ほぉ…まぁ、頑張れよ」

にっと笑う慶次に、短く答えて、その場を後にした。
< 122 / 347 >

この作品をシェア

pagetop