戦国遊戯
信玄は、そばにいた侍女を呼ぶと、ひそひそと何かを話した。侍女は、軽く頭を下げると、その場を後にした。

「幸村よ。明日の明朝、謙信を訪ねる。お主もくるか?」

「…お館様!」

黙って外を眺めた。

「謙信の奴め、何を考えておるのじゃ」

ぎらっと目が光ったような気がした。

「幸村、今から謙信宛に文を書く。それを佐助に、一足先に届けさせてほしい」

「はっ!すぐに佐助を呼んで参ります」

「うむ。これ!筆と紙をここに!」

屋敷内がばたばたとあわただしくなった。


信玄の書いた手紙を預かると、佐助はそのまま屋敷から出て行った。

「お館様。上杉への文にはなんと…?」

気になって聞いてみた。

「ん?あぁ、なに。珍しい者を手に入れたらしいので、それを肴に酒を飲もう、とな」

ふふふ、と、不適な笑みを浮かべる。

「しかし、断られてしまったら…」

「なぁに、心配はいらぬ。ああみえてあやつは律儀じゃからのう。酒を飲もういうだけの誘いを、無下に断ってくるはずはないからの」

「お館様…!」

ふはははは、と笑う信玄。
目を輝かせて、幸村は信玄を見た。

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