戦国遊戯
***** 謙信's View *****

「ふふ、信玄め。面白いことを」

佐助に対して、不敵な笑みを浮かべる謙信。

「さて、どうしてくれようか。のう?柿崎」

側に控えていた柿崎に声をかける。柿崎はただ黙って、謙信の側にいた。

「しかし、信玄は玲子のことがよほど大事と見える」

眼光が鋭く光った。ふっと、玲子の休んでいる部屋を見やった。

「そういえば、玲子は目をさましたのかえ?」

柿崎に聞くと、いえ、と、短く答えて、首を横にふった。

「そう、か。ふふっ」

扇子で口元を隠しながら、軽く笑った。

「佐助、と、申したか」

ぱちん、と扇子を閉じる。

「信玄に伝えよ。月が昇るまでの間に、屋敷へ来くるのじゃ。余興を共に、楽しもうぞ」

佐助は頭を下げると、その場から消えた。

「…謙信様、よろしかったので?」

「柿崎。わらわはあの娘が欲しい。お主は、あの娘と決着をつけたい。あの娘も、お主と決着をつけたい」

にぃっと、口の端を吊り上げる。

「さぁ、信玄。はようわらわの元へくるのじゃ」


あははは、と高笑いを浮かべると、すっと立ち上がり、部屋を出た。
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