戦国遊戯
「言っておくけど、行かないわよ?」

「へ?」

さくらに言われて、なんのことかととぼけてみた。

「これから冬がくるから、畑仕事が忙しいってのに。そんな妙なものに会いに行く暇なんて、ないんだからね!?」

図星をさされて、言葉につまる。不満げな顔をしていると、鬼のような形相で、さくらが睨み付けてきた。

「ひっ!ごっごめんなさい!」

へこへこと平謝りする。さくらはため息を一つついた。

「まぁ、なんにしても、その怪がいるらしいって山は、尾張の方にあるらしいから、行けないしね」

「えっ!?甲斐の国の山じゃないの!?」

びっくりして聞き返す。

「あのお坊さんは、そう言ってたけど」

しれっとした顔で答えるさくらに、そっかぁ…と落胆の表情をみせる玲子と幸村。

「って、なんでゆっきーまでそんな顔するのよ」

軽くつっこむと、残念そうな顔で、会いたかったのに、と、ぼそっと呟いた。
< 154 / 347 >

この作品をシェア

pagetop