戦国遊戯
聞いてみたものの、慶次は首を傾げていた。

「怪ぃ?」

ごくん、と、ご飯を飲み込むと、可哀想な子でも見るかのような顔をして聞き返してきた。

「噂で聞いたんだ。ついさっき。なんかね、御供えしたら、予言をしてくれるって」

「予言ねぇ」

慶次は、ふぅむ、と、考えこんだ。前田慶次なら、尾張の事だし、知ってるんじゃないかと思ったのだが。

「知らない?」

当てが外れたかと、肩を落とすと、慶次が、あっ!っと、何かを思いだしたかのように叫んだ。

「あれだ。最近、裏山に出没してる男だ!」


何かを知っているかも、とは期待していたが、まさか裏山なんてそんな近くで出没してるとは…


「まぁ、大概当たるが、外れる事もあるって話だぜ?それに、もともとは、人に会うのが嫌で、世捨て人になって、生活できる程度に、飯やらなんやらをもらってるって話らしいぜ?」


…お化けとかですらなく、単なる世捨て人。


「ま、大方、悪い女にでも騙されたんだろ」

慶次が豪快に笑う。玲子もつられて笑った。
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