戦国遊戯
「…あの、ほんとに、ここ?」

玲子はあんぐりとした顔をする。慶次はいたって真面目な顔で、問題あるか?と聞いてきた。

「問題っていうかさ。ここ…」

目の前に広がる、大きな城。3人は、今。その大きな城の城門のところに立っていた。

「お城ですけど」

聞くと、不思議そうに藤吉郎が聞き返してきた。

「見ればわかるだろう。それがどうかしたのか?」

「どうかしたって…そりゃ、どうかもしますよ。泊まるところって、まさかこのお城なわけないですよね?」

「なんだ、不満なのか?」

「ふ、不満とか、そういうことじゃなくって。お城に何で泊まれるんですか!」

思い切って疑問をぶつけると、ふたりはさらにわからない、といった顔で、玲子を見た。

「わしは、ここに仕えておるからの」

「は?」

「俺の主人も、一応ここにいるしな」

「は!?」

2人の言葉に頭が混乱する。

「主人って…」

『信長公だが』

2人の声がハモッた。
頭が痛い。


冗談じゃない。信長って、なんとなく、イメージだけど、怖い人でしょ?そんな奴のところで1晩泊めてもらうとか、怖すぎる!


「ほら、入れよ」

藤吉郎と慶次が中に入る。


というか、そもそも、完全部外者で、よそ者の私を、そんなに簡単に招き入れて問題ないのか!?


慌てて2人の後に続くが、不安が胸の中でもやもやと渦巻いていた。
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