戦国遊戯
「ほぅ…これは偶然か?」

にやりと笑う信長に思わず体がひけた。

「お主の会いたがっておる、予言者ならば、今、目の前におるぞ?」

言われた意味がわからず、目をぱちくりとさせた。

「目の前?」

おうむ返しに聞くと、信長は頷いた。

目の前にいる、信長、慶次、藤吉郎は違う。残るは、信長の隣の美少年だか美少女だかか、信長の目の前にいる人物だ。

どっちだ?と思っていると、信長の前に座っていた人物が、少し振り返った。

「…青柳さん?」

「えっ?」

こっちの世界に来てから、久しく聞いていない呼ばれ方をして、びっくりする。
慶次達は、一瞬、誰のことを言っているのかわからず、首をかしげた。

「だれ!?」

思わず立ち上がって後ずさる。心臓が、バクバクと、うるさいくらいになっていた。

「まさか、こんなところで会うとは思わなかったよ。青柳さん」

立ち上がってこっちをみている、その男の顔は、どこかで見た覚えがあった。

「…まさか、田中くん?」

恐る恐る聞いてみると、不気味なほど、ねっとりとした笑みを浮かべて頷いてきた。
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