戦国遊戯
「人が変わったみたいって、ああいうことを言うのかな」

「え?」

とりあえず、と、追いついた藤吉郎に案内された部屋で、3人で月見酒を交わしながらまったりしているところで、玲子が呟いた。

「うん、田中くんだけどさ、私の知ってる田中くんと、かなり印象が違ったから」

うーん、と頭をひねる玲子。

「そんなに違うのか?」

藤吉郎に聞かれて頷いた。

「顔が変わったとかじゃないんだよねぇ…ほんと、雰囲気がまるで違うっていうかさ。あんな気味の悪い笑い方するような人じゃなかったと思う」

愛想がよかったわけでもないけど、あんな笑い方をしたことはなかったと思う。

「ま、わしもあいつは信用ならんからな」

藤吉郎の言葉に、玲子と慶次は顔を見合わせた。

「そういや、信長と一緒に、一度会いに行ったことがあったんだっけか」

慶次が聞くと、藤吉郎は、ああ、と頷いた。

「初めて殿の名前を聞いたときの、あやつの表情。何かを企んでいるような、そんな顔をしておった」

「気のせいじゃないのか?」

「いや、そんなことはない」

慶次に聞かれるも、きっぱりと否定する藤吉郎。玲子の胸の中に、また。もやもやとしたものが広がった。
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