戦国遊戯
後少しで、森に着く。ほんとはまっすぐに帰るつもりだったが、学のことを、希美に相談したかった。

この時代にきて、最初にいた場所。ここにきたからって、希美と連絡をとれるわけじゃない。
けど。
なんとなく。
ほんとに、なんとなく。

希美と今日は、連絡がとれるような気がした。

はやぶさから降りて、手綱をひきながら、奥へと進んでいく。


しばらく進んだところで、また、視線を感じた。
振り替えってみるけど、もちろん、誰もいない。

「誰かいる?」

少し大きめの声で聞いてみる。
が、案の定、返事はない。

「…なんかやだなぁ…」

はやぶさを連れて、先を急ぐ。携帯を見てみるが、やはり圏外のままだ。


半分くらいのところだろうか。また、視線を感じた。

「…帰ろうかなぁ」

またぼそっと一人ごちた。

すると横で、がさがさっと音がした。慌てて見てみるが、なんの気配もない。

「嫌だぁー」

泣きそうなのを必死でこらえる。
はぁ、と、ため息をついた瞬間。

ブルブルブル。

携帯が揺れた。思わずびくっとするが、相手は一人しか考えられない。すぐに電話に出た。
< 173 / 347 >

この作品をシェア

pagetop