戦国遊戯
幸村を"若"と呼び、格好が忍者っぽい。とくれば、もしかして。

「・・・名前は佐助、だったりして」

ぽそっと言った。そして、すぐに後悔した。

「・・・若。なぜとめるのです」

のど元には、クナイの切っ先が当たっているのがわかった。少しでも動けば、のどに刺さる。それをとめてくれているのは、幸村だった。

「・・・俺も、少し疑問があったのだ」

手を止めてはくれているが、幸村の目には疑いの色が見えた。
とはいえ、本当のことを伝えてしまったら、まずい気がする。
ただただ黙っていた。

「おぬしは一体、何者なのだ?」

聞かれても、うまい答え方が見つからない。

「私は、敵じゃ、ない」


振り絞って出てきた台詞はそれだった。


・・・B級映画じゃあるまいし、誰がそんな言葉を信じてくれるっていうの。


言った後で、殺されることを覚悟した。

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