戦国遊戯
玲子に接吻。


したくないわけではない。
いや、やましい気持ちがあってのことではない。純粋に、玲子が回復するかもしれぬからだな…


パタパタと、廊下をいったりきたりする。


玲子が今の状況じゃなくても、俺は、接吻したいと思っただろうか?


ふっと、立ち止まり、俯き考える。


わからぬ。


目を閉じて、ふっと頭を上げる。いろんな想いが、頭の中をよぎっていく。


初めて会ったときは、怪だと思った。見慣れぬ格好に、周りにはいないなにか違った美しさがあった。
喋り、行動を共にし、玲子の人となりを知り。
正直、ひかれていないと言えば嘘になる。


目をあけ、玲子のいる部屋へと戻っていく。


俺は、玲子のことを。

どう、想っているんだ?


部屋の前で立ち止まる。
なぜか、襖を開ける手が止まった。


俺はなぜ、ここに戻ってきたんだ?


扉越しに、玲子の姿を見つめていた。




俺は、玲子のことを。


好いているんだろうか。


扉を明け、部屋の中へと入っていく。横たわる玲子の側にそっと座り、額にかかる髪をかき分けた。

「玲子…」

自分の鼓動の音が、静かな部屋の中に、鳴り響いているような気がした。


そっと、目を閉じ、顔を近づけた。
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