戦国遊戯
「・・・若。こやつは敵の間者に間違いありません」

佐助の殺気に押されて、ぎゅっと目を瞑った。


殺されるんだったら、痛くない方がいいんだけど。


どれだけの時間がたっただろうか。
正直、緊張のし過ぎで死ぬんじゃないか、そう思った。


・・・まだ、殺されない?


そっと片目をあけて見てみた。苦々しそうな顔をした佐助が、すっと、クナイをしまった。


あれ?なんか、助かった――――?


幸村の顔を見た。幸村が、こっちを覗き込むようにしてみていたので、目がばちっとあった。恥ずかしくなって、思わず顔をふいっとそらす。顔が熱い。

幸村は、馬から降りると、私の手をとり、馬から降ろしてくれた。

「おぬしは、敵ではないのだな?」

聞かれて、無言で頷いた。

「・・・俺の客人だ。丁重にもてなすよう」

そう言って、幸村は、馬を連れてその場を離れていった。佐助は納得いかないといった風な顔をしている。

「・・・っち。俺は、お前を信用しないからな」

そういい残して、佐助は消えた。
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